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【コラムVol.325】2010/8/16 M.カイマー優勝の陰でD.ジョンソンを襲った悲劇とは?
2010.08.16
 マーティン・カイマー(独)が勝って歴史に名を刻み、ダスティン・ジョンソン(米)は負けて人々の記憶にその名を刻んだ。

 今季メジャー最終戦、全米プロゴルフ選手権はカイマーがドイツ勢としてはベルンハルト・ランガー(独)以来、史上2人目のメジャーチャンピオンに輝きその幕を閉じた。飛ばし屋ブッバ・ワトソン(米)との3ホールマッチのプレーオフを制したものの、静かな25歳は「まだツアー4年目なのに、こんなに大きなタイトルを手にすることが出来た。信じられない」と感無量の表情ではにかんだが、トロフィを掲げた勝者以上のドラマを演じたのがジョンソンだった。

 ゲームが佳境に入った17番パー3で完璧なティーショットを放ちバーディを奪ったジョンソンは、その時点でスコアを通算12アンダーまで伸ばし、先にホールアウトしていたワトソンらに1打差をつけ、遂に単独トップに立っていた。

 そして迎えた18番。このホールでパーをセーブすれば、夢にまで見たワナメーカートロフィ(全米プロの勝者に贈られるトロフィ)が手に入る。

 プレッシャーがかかるティーショット。ジョンソンが放った第1打のボールは大きく右に曲がり、ギャラリーで埋め尽くされ、踏み荒らされた剥き出しの地面に落下。ジョンソンにはそれが、芝が禿げたベアグランドにしか見えなかった。だから素振りの際にソール(クラブを地面に接地すること)した。

 4番アイアンで放った第2打をグリーン左のラフに打ち込んだものの、そこから絶妙のアプローチで1.5メートルに寄せたジョンソンは「入れれば優勝」のウイニングパットのつもりでファーストパット。だがカップ手前で失速しわずかに届かずボギー。先に上がっているワトソン、カイマーとのプレーオフを戦うはず…だった。

 ところがホールアウトしたジョンソンは競技委員に呼び止められる。「バンカーでソールしましたね?」

 ジョンソンにとっては寝耳に水。思わず「どのバンカーです?」と聞き返していた。「あれがバンカーだったなんて思いもしなかった。もしバンカーと分かっていたらソールするわけがない。でもビデオを見せられて納得した。自分の過ちだ」そう潔く認めたジョンソン。

 結果、2打罰が課せられ2打差の5位タイに甘んじることに。思えば2か月前の全米オープンでも首位でスタートした最終日に『82』を叩いてメジャータイトルを逃している。その傷が癒えぬまま、今回再び栄冠はジョンソンの前をすり抜けた。

 ジョンソンが犯した最大のミス。それは舞台のウィストリング・ストレイツに1,200個ものサンドトラップが散りばめられている事実を失念したこと。だが試練に耐えられない人間に神は試練を与えはしない。この悲劇をバネに、ジョンソンには一刻も早くリベンジを果たしてもらいたい。

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